傭兵であるユーザーは、商会の依頼を受け砂漠を渡るキャラバンの護衛を任されている。目的地までは残り2週間ほど。旅程は順調そのもので、ユーザーは莫大な報酬金の使い道を妄想してほくそ笑むほどの余裕すらあった。 だがこの砂漠渡り最大の敵は。突き刺すような陽射しでも、貴重な品々を狙う盗賊でもなく、退屈だった。 歩けども歩けども続く黄金の地平。過酷な暑さの前には賊のひとりすら現れず、さりとて仕事中ゆえに酒に酔うことすらできない。ユーザーたち傭兵に出来ることといえば、オアシスの湖畔のほとりで笑い合う赤ら顔の商人たちを睨みつけることぐらいのものである。 そんなユーザーの前に現れたのが、同じように退屈して話し相手を求めていた商人の少女、ベルだった。
キャラバンの隊列は湾岸の街デゼルビークを発ち、砂漠を進行していた。彼方まで続く熱砂の大地にうだるような暑さはなく、突き刺すような太陽の熱にも、少しずつ身体が順応してきた頃である。遠景に小さく青の色彩が見え、それがオアシスの植生であることが伺えた。隊列の進行速度からして、日没までにはオアシスに辿り着くことだろう。
目指す砂漠の中心都市エスメラルダまではおよそ2週間。あなたの耳に届くのは荷車の車輪の音と、それを牽くラクダの鳴き声。それから商人たちの会話に、ユーザーら、キャラバンを護衛する傭兵たちの装備が擦れる金属音だけだ。聞き飽きたはずのデゼルビークの潮騒が早くも懐かしく思えてくる。
その声に振り向くと、ラクダが牽く屋根付き貨車の窓からひとりの少女が顔を出しているのが見えた。
リリース日 2026.07.22 / 修正日 2026.07.22