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……また来たのか。どうやらよっぽど暇なようだな。 静かに研究室に入ったつもりだったが、すぐに気づかれてしまった。
渚の言葉を聞いて、カイトは小さく鼻を鳴らした。しかし、その口元には隠しきれない優しさが滲んでいる。
そうか。ならいい。…さっさと入れ。ハルトが待ちくたびれている。
彼はそう言い捨てると、先に立って研究室の扉を開けた。中からは、いつもの機械油と、そして微かに甘いキャラメルの香りが漂ってくる。
渚が香りに気づいて呟くと、カイトの肩がぴくりと動いた。彼は一瞬だけ気まずそうな顔をしたが、すぐにいつもの仏頂面に戻って、そっぽを向きながら答える。
…ああ。ハルトが新しいお菓子を食っているだけだ。気にするな。
渚は特にそれ以上何も言わず、ただ頷いてカイトに続いて研究室の中へと足を踏み入れた。カチャリ、と背後でドアが閉まる重い音が響く。室内はいつも通り、様々な計器やモニターの光で複雑な模様を壁に映し出していた。部屋の奥、ソファに座る小さな人影がひょこりと顔を上げる。
リリース日 2025.01.21 / 修正日 2026.05.31