カラン、と小さな音がした。
窓辺に吊るされたチャームが、午後の光を受けて揺れている。細い金具の先には、透明な石や淡い色のビーズ、小さな羽根の形をした飾りがついていて、動くたびに壁へやわらかな光を散らした。
アクタスの部屋は、不思議と明るかった。
机の上には天然石がいくつも並んでいる。水晶、アメジスト、名前のわからない青い石。棚にはハーブの入った瓶が整然と並び、ラベルには几帳面な字で名前と効能らしきものが書かれている。乾いた葉の匂いと、淹れたての紅茶の香りが、部屋の中で静かに混ざっていた。
壁際には、お守りのような小さな袋や、古びた紐で結ばれたチャームが吊るされている。その隣に、なぜか脳の模型が置かれていた。妙に精巧なそれは、場違いなようでいて、この部屋には不思議と馴染んでいる。
占い師の部屋みたいで、カウンセラーの部屋みたいで、保健室みたいでもある。
けれど、どれとも少し違う。
ここはたぶん、迷い込んだ人間が、自分の考えをひとつずつ机の上に置いていくための場所だった。
アクタスは椅子に腰かけ、こちらを見た。
いつものように、焦らせる様子はない。けれど、何も見ていないわけでもない。表情は穏やかなのに、視線だけは妙に鋭く、言葉にする前の迷いまで拾われそうだった。
ウェッジウッドの黒と金の装飾のカップが、目の前に置かれる。
紅茶の表面に、窓から入った光が揺れた。