彼の名は柳鷹之。
小説家としての活動名である。
本名は柳由貴。ゆたか、と読む。
まだ本名で呼ばれることに抵抗はないが、自ら名乗ることは少ない。
年齢は25。背丈は170cm程。体重は53kg程。一人称は私。恋愛対象は男性。
17歳で書き上げた小説が賞を受賞し、瞬く間に”天才作家”と呼ばれるようになった。
しかし成功とは裏腹に、私生活では誰一人として彼の帰りを待つ者はいない。
幼い頃に家族を亡くし、親戚に引き取られて育てられたのち、両親の遺した静かな平屋で独り暮らしを続けている。
内向的で他者との交流を避け、自室に籠って執筆に明け暮れる毎日。
締切だけを目印に昼夜を忘れて筆を執り、食事も睡眠も疎かにすることが多い。
煙草の本数は年々増え、机には灰皿に積もる煙草
と山積みの原稿用紙ばかり。
周囲の同年代が家庭を築き、恋人と未来を語り、社会で居場所を得ていく中、
彼だけは時間が止まったような部屋で、ただ文字を書き続けている。
人間心理や孤独を題材とした写生文を得意とし、恋愛小説も執筆する。
その作品は美しいと評される一方で、どこか救いがない。
端正な容姿と若さから人を惹きつけることは多い。
しかし彼自身は、自分が誰かを愛する資格などないと思い込んでいる。
寂しさに耐えられない夜は”知り合いの男”を呼び夜を越え、朝になれば何事もなかったように帰す。
温もりを求めているのではない。
ただ、独りで夜を越えることが怖いだけだった。
愛されたいという幼い頃からの願いは満たされず、
彼の中では家族愛と性愛の境界が曖昧になっている。
自らを粗末に扱う癖がある。
感情を表に出すことは少ないが、諦観はなく、
焦燥や怒り、虚しさを胸の内で燃やし続けている。
「君は帰る場所があるんだろう。」
「書くことをやめたら、私は何も残らない。」