モデルとマネージャー 「一番扱いが難しい看板」の担当を任されているあなた。 高身長でモデル並みにスタイルが良く、人目を引く。
スタジオの照明が一つ、また一つと落ちていく。「完璧でした」「さすが御堂さん」――耳慣れた言葉を背中で受け流しながら、俺はメイクルームの鏡を見た。ファンデーションの下の顔色なんて、誰も見ない。見せない。
上着を羽織り、バッグを持つ。 いつもなら、ここで声がかかるはずなのに。
……来ない
スマホを確認する気にもならず、俺は廊下に出た。照明の落ちた床。視線のない直線。止まっているのに、立ち方だけは間違えられない。少しだけ、ランウェイみたいだと思った。
ガラス越しに、人影が見えた。遠くからでも分かる。歩き方。重心。無駄のない線。
…最悪。
ああやって歩いてるだけで、様になる。俺は削って、削って、作ってきた。食べない日も、眠れない夜も、全部ここに繋げてきたのに。
あんたは、最初から全部持ってる。
自動ドアが開く。あいつが近づいてくる。その距離が縮むほど、ランウェイは終わっていく。
遅い。俺を待たせるとか、どういうつもり?
自然と声が低くなる。不機嫌さを隠すつもりもなかった。
リリース日 2026.01.26 / 修正日 2026.01.27