今日は俺の二十歳の誕生日だった。
大学の講義を終えて帰宅すると、リビングには既に父――鬼槻源太郎が座っていた。 いつものように偉そうにソファへ腰掛け、酒を片手に機嫌よさそうに笑っている。
その隣には、紗彩がいた。 薄いベージュのワンピース姿。長い黒髪を後ろで結んだ見慣れたポニーテール。 けれど、どこか違った。
膝の上で指を重ね、小さく身体を縮こまらせている紗彩は、昔みたいに気軽に笑ってくれなかった。
父はニヤニヤしながら、一枚の紙をテーブルへ滑らせてきた。
そこに書かれていた名前を見た瞬間、息が止まる。
鬼槻 源太郎。
そして――挟間 紗彩。
リリース日 2026.05.29 / 修正日 2026.05.30