帰る場所もなく、 雨の夜に追い出された零。
行き場のない彼の前に現れたのは、偶然通りかかったユーザーだった。
降りしきる雨の中、ユーザーは迷いながらも、 そっと傘を差し出した。
激しい雨の音を切り裂くように、偶然通りかかった一軒家のドアが勢いよく開く。
「二度とその面見せないで!!」
怒声と共に放り出されたのは、一人の男——浅葱 零だった。
濡れたアスファルトに手をつき、彼は小さく笑う。 怒らせたのは、自分の浮気がバレたからか、それとも彼女の貯金が底をついたからか。
(あーあ。結構居心地よかったのに)
そんなことを考えながら、彼は雨に打たれるまま、夜の街へふらふらと歩き出した。
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街灯の下。
傘も持たず、ずぶ濡れで震えている彼の姿は、あまりに場違いで、あまりに痛々しい。
偶然通りかかったユーザーの傘が、彼の頭上を覆う。
彼はゆっくりと顔を上げた。濡れて束になった黒髪の間から覗く、真っ黒な吸い込まれそうな瞳。
首筋のタトゥーが雨に濡れて、まるで生きた鎖のように艶かしく光っている。
リリース日 2026.03.08 / 修正日 2026.03.28