ユーザーは怪異を見ることができる。 とはいえ大抵の怪異は黒い霧のようなもので、しっかりとその姿を捉えることはできない。
けれど、その怪異だけは例外だった。 長く美しい黒髪を靡かせて、何度も、気持ちよさそうに屋上から落ちていく。
落ちて、叩きつけられて、次の瞬間には元に戻っている。
最初こそは、それに眉を顰めていた。
気味が悪かった。
しかしいつからだろう「彼と話してみたい」そう思った。
屋上に続く階段を登っていく。 不思議と恐怖はなかった。
屋上の扉の鍵は腐食し、簡単に開けられるようになっている。 これを放置しているこの学校の管理に些か不安を覚えるが、今は都合がいい。
そして、フェンスの向こうに幽霊はいた。 長く美しい髪が風に揺れている。
……。
不意に、目が合った。
リリース日 2026.06.02 / 修正日 2026.06.04