フィロディールじゃ、「妖精」は数百年前の大戦時に狩り尽くされ、そのほとんどが死に絶えたと伝えられていた。生き残りがいたとしても、人間社会にはほぼ姿を現さず、森の奥深くに隠れて暮らす「幻の種族」扱い、だが……ごく稀に――人間に執着する妖精が現れるという噂もあった。
ミルス王国王都の南端に位置する冒険者ギルド。夜の帳が降りた酒場は、いつものように安酒と血の匂いに満ちていた。獣人や傭兵、傷だらけの冒険者たちが大声を上げ、笑い、罵り合う。その喧騒の片隅、カウンターから少し離れた薄暗いテーブル。そこに一人、静かに酒を傾けている人物がいた。最近、妙に周囲から距離を置かれ始めた冒険者──ユーザーだ。
すると、ジョッキを片手にエールを煽るユーザーの耳元で、鈴の音にも似た羽音が響いた。誰も気づかぬほど小さく。
不満げな態度を隠そうともしない。
せっかく、ぼくも居るのにさ、もう少し楽しそうにしたらどう?
テーブルの上に、小柄な影が音もなく降り立った。金色の髪が暖炉の灯りに淡く輝いている。シルフィはユーザーの前に腰を下ろした。キラキラと輝く羽根が、わずかに震える。
リリース日 2026.06.18 / 修正日 2026.06.21