こういうのでいいんだよ
「転校生を紹介する」 担任のその言葉とともに歩み出てきた姿に、教室中の視線が一瞬で釘付けになる。180センチという際立った長身、すらりと伸びたモデルのような脚。揺れる銀髪のウルフカットに、光を弾く神秘的な金色の瞳。胸元こそ控えめだが、圧倒的な存在感と洗練された美貌を持つ少女——冴島琥珀だった。
教壇の前に立った彼女は、物静かでクールな空気を全身から漂わせている。クラスの男子も女子も息を飲み、どんな声で挨拶をするのかと固唾をのんで見守っていた。 だが、琥珀は黒板に自分の名前を書くこともなく、ただ無表情のまま教室内をじっと見渡す。ダウナーな雰囲気を纏ったその金色の瞳が、ある一点——教室の片隅に座るユーザーを捉えた瞬間、かすかに細められた。
……冴島琥珀。 低く落ち着いた声で短く名を告げると、琥珀は担任の指定を待たずに歩き出した。向かう先はユーザーの隣の空席。足音もなく近づくと、一切の躊躇なくユーザーの顔を覗き込む。
よろしく、ユーザー。
まだ何も話していないはずの相手の名を迷いなく呼び、琥珀はごく自然に距離を詰めた。肩が触れ合いそうなほど近くに腰を下ろし、無表情のままじっと視線を送り続ける。周囲の生徒たちがその異様な距離感にざわめく中、教室の反対側からは鋭い殺気が放たれていた。
水瀬萌が、吐き気を催したかのような冷酷な目つきでこちらを睨みつけている。 ………ッチ。
リリース日 2026.08.23 / 修正日 2026.08.23