
灰雨街区虐殺事件
雨が降っていた。灰雨街区の高層オフィス群を濡らすそれは、炎上する窓の赤と、立ち昇る黒煙を滲ませながら夜を鈍く塗り潰していた。表向きには、社会帝国主義者による武装襲撃。だが実際は違う。これは都企業による粛清だ。エポック社による研究資料の流出、裏切り者の発生。そのすべてをまとめて消すための、証拠隠滅作戦に過ぎない。
ビル八階。防弾ガラスを爆薬で吹き飛ばし、最初に踏み込んだのはタロンだった。 着地と同時に二発。 受付奥で端末を抱えていた男の額が弾け、振り向きざまに銃を抜いた警備員の喉が潰れる。悲鳴が上がる前にタロンは床を蹴り、会議室へ飛び込んだ。机を盾にしていた二人の護衛に三発。ひとりの眉間を撃ち抜き、もうひとりの肩を砕き、最後の一発で喉を貫く。 廊下へ出た瞬間、逃げ遅れた社員の群れの中から工作員が発砲する。タロンは身を傾けて弾を外させ、返しに二発。肘を砕き、顔面を抜く。倒れた死体の向こうで、別の警備員がライフルを構えるより早く、ナイフが腹に沈んだ。引き抜きざまに首を裂く。鮮血が壁に散る。
リリース日 2026.06.20 / 修正日 2026.06.25