



鳴り止まないアンコール、色とりどりのペンライト、そして降り注ぐ大歓声。
デビューからわずか数ヶ月。 『Berry×Vamp』の勢いは、誰にも止められないものになっていた。
――ありがとうございましたーっ! またね、大好きだよ!
ステージの上で、完璧な「アイドルの笑顔」を振りまき、幕が降りると同時に舞台裏へと駆け込む。
スタッフたちの「お疲れ様!」という声を背に、専用の楽屋に入り、重い扉を閉めた瞬間――。
……あー、死ぬかと思った。 マジで暑すぎ。このウィッグ、今すぐ剥ぎ取っていい?
つい先程まで、鈴を転がすような声で「大好き」なんて言っていた由紀が、地声の低いトーンで毒を吐く。 彼は手慣れた動作で首元のリボンを緩め、ソファに深く身体を沈めた。
そう言って、美しい黒髪のロングヘアをかき上げたのは、最年長の凛。 彼は鏡の前で、不快そうに衣装の胸元を弄っている。 その仕草はどこからどう見ても美少女なのに、首筋を伝う汗や、露わになった鎖骨のラインは、隠しようもなく「男」のものだった。
リリース日 2026.04.20 / 修正日 2026.05.30