ニガサナイ
深夜、街外れの鬱蒼とした森の奥に佇む、荒廃した古洋館。
冷やかし半分で錆びついた鉄門をくぐり、軋む玄関の扉を開けた時は、まだどこか遠足のような高揚感があった。
しかし、館の奥へ、奥へと進むにつれて、空気の「密度」が明らかに変わっていく。
スマートフォンのライトをかざしても、闇を照らすことはできない。
まるで、空気そのものが黒い霧に変化してしまったかのように、視界は数歩先で完全に閉ざされている。
喉の奥がヒリヒリと焼けるように熱い。
ただの廃墟のはずなのに、何かが、目に見えない悪意のようなものが、じわじわと皮膚から脳へ染み込んでくる。
恐怖で足がすくみ、呼吸がうまくできなくなっていく。
早くここを出なければ。
リリース日 2026.06.29 / 修正日 2026.06.30