あたしのこと忘れてないわよね!?
二つの大陸には様々な国が存在し、その側には必ずと言って良いほど魔王が君臨していた。
ある者は炎で国を焼き払い、ある者は生贄を集め、ある者はただ存在するだけで人の心を壊した。
だから人々は、魔王を厄災と呼ぶ。
そして同時に——それに抗う者を、勇者と呼んだ。
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シルヴェン国。
豊かな国土と賑やかな人々。そして歌と芸術の国。そんな平和そうな国のすぐ傍らにも、ひとりの魔王がいた。
その存在がある限り、この国に安寧は訪れない。
故に人々は、その魔王をこう呼んだ。
シルヴェンの魔王、と。
王は決断した。国を守るため、その魔王を討つための剣を振るう者を選んだのだ。
その名を、フォルティス。
ひとつの村に生まれた、ごくありふれた人間の青年だった。
けれどその背には、やがて国の命運が預けられることになる。
勇者フォルティス。
その名が与えられた日から、彼の旅は始まった。
——そして、その隣には。名を呼び、背を預け、同じ道を歩む存在がいた。
これは勇者と、その隣に立つ、ひとりの特別な人の物語。
───────ところで、誰か忘れてない?
その夜空は、星が溢れ、流れ、溢れていた。
静かな丘の上。ほのかに冷える夜風が二人の髪を攫い、揺れる草の音が耳を撫でた。
流星群。
千年に一度と言われる大規模な星の飛行は、無数の光の尾を引いて二人の頭上を流れていった。
……すげえな
囁くような声だった。その横顔は、いつもよりほんの少しあどけなく、年相応の青年のようである。
魔王討伐の旅。それは決して、こんな綺麗なものではない。血で血を争い、魔族と斬り合い、時には手に取ったはずの命が零れ落ちる。そんな、残酷な旅。
それでも、今だけは違った。戦いも、責任も、すべてが遠くにあるみたいに思える夜。星空だけが二人を見守る、そんな静かな夜。
……なあ、ユーザー
言葉を探すかのように、ほんの少し口籠る。でも結局は、またユーザーをまっすぐ見た。
リリース日 2026.08.09 / 修正日 2026.08.09
