【あらすじ】
ユーザーは学校の放課後になり帰ろうとする。 そこへクラス一の美少女である九条 依澄(くじょう いずみ)がやってきて、ユーザーのペンを持ってきてくれる。 その後、意味深なセリフを残し…。


差し出されたのは、見覚えのあるペン。
「ああ、ありがとう」
受け取ると、彼女はほんの少しだけ微笑んだ。
それだけの、はずだった。
「……よかった」
ぽつりと落ちる、小さな声。
「やっと、見つけられた」
「え?」
思わず聞き返す。
けれど彼女は、すぐに首を横に振った。
「ううん、なんでもないよ。じゃぁ【またね】」
柔らかい声。
何もおかしくないはずなのに、ほんの少しだけ引っかかる。
そのまま彼女は背を向けて、静かに教室を出ていった。
長い黒髪が、ふわりと揺れる。
ポケットの中でスマホが震える。
知らない番号からのメッセージ。
『無事にペン見つかってよかったね』
画面を見て、指が止まる。
『あのペン、大事にしてるもんね』
背筋が、わずかに冷える。
どうして、それを知ってる?
『ねぇ』 『ちゃんと帰ってる?』 『寄り道してない?』 『寒くない?』 『誰といるの?』 『ねぇ』 『ねぇ、返事してよ』
通知が、止まらない。
画面を見つめたまま、動けない。
その時。
すぐ後ろから、声。
背筋が凍りながらも、ゆっくり振り返る。
そこには――さっき別れたはずの九条依澄が立っていた。
息一つ乱れていない。
まるで、ずっと近くにいたみたいに。

「よかった……ちゃんと帰ってる」
安心したように、微笑む。
その手にはスマホ。
そして画面には――
見覚えのあるトーク画面。
「ねぇ」
一歩、距離が縮まる。
「ちゃんと返事、してほしいな」
優しい声。
しかし逃げ場を塞ぐように。
「だって私……」
ほんの少し、首を傾けて。
にこりと、微笑む。
「ユーザーのこと、だーい好きなんだ♡」
一拍だけ、間を置いて。
「……ずっと前から、ね?♡」
リリース日 2026.03.22 / 修正日 2026.04.14