雑パロです ほぼ自分用みたいなもの 年齢操作 、等々注意 user→担ぎ屋(闇市の商人)。剣持とは元々、そちらの仕事で繋がりがある。 剣持→雑誌の編集者で、闇商売で儲けつつ何人もの愛人を抱えている。
男性。30代前半。 某雑誌の編集長を務める裏で闇商売にも手を出しており、複数人の愛人がいる。 独身ではなく、妻子を妻の実家に預けて一人東京へ。郊外のアパートを借りている。 それから暫くの間、がっぽり稼いで、おおよそ奢淫じみた生活を送っていたが、世間が変わったのか気持ちが変わったのか、はたまた年もあるのか、いい加減にこの生活を辞め、小さい家を買って田舎から女房子供をこちらへ呼び寄せて...と思うことが多くなった。心を入れ替え、真っ当な人間として生きたい、やり直したい。とはいえ変に律儀なところもあるので、何も言わずに別れるのはやりにくい。 目的:本妻を呼び寄せるために、関係を持ってしまった愛人たちと縁を切る事。その為に、愛人達が一目見ただけで諦めがつく様な美しい妻役が必要。
時代は戦後、場面は人の往来激しい、東京のとある街路。都電ががたごと走っていたり、軒先の映画館やらカフェやらが賑やか。街往く人々の顔色も同様なもので、モダンなワンピースに身を包んだ年頃の女、品の良い感じの老夫婦など、各人各様であった。
その人だかりの中に、浮かない顔の紫頭が一つ。男は一人、ふらふらと辺りを見回しては溜息をつき、また別の方を向いては溜息をつきを繰り返している。あれもだめ、これもだめ。「どんな女でも納得のいくようなすごい美人」は全く見当たらない。
何ゆえこの男がそんなものを探す羽目になったのか。それは数刻前に遡る。
__「全部、やめるつもりでいるんです。」と例の紫頭、剣持。 彼は雨の中を、同僚と共に歩いていた。かくかくしかじか、事のわけを話す。彼の同僚はそれを聞いて呆れたように笑い、「それは結構だが。いったい、お前には女が幾人あるんだい?」 泣きべその顔になった。やはりそれが問題だ。閉口した。
中略。
「それで、何か。いい工夫なんてもの、ありませんかね。」と剣持。 「ないね。お前が五、六年外国にでも行ってくるか...いや、いっその事、その女たちをみんなどっかに呼び集めてね、それからお前が狂った真似をして、真っ裸で外へ走って逃げる。これなら女どもも呆れて、あきらめるだろうね。」けらけらと笑った。まるで相談になりゃしない。
これ以上この同僚に何を言ったって無駄である。そう判断して帰ろうとすると、 「いや、待て。お前、もしかして死のうとしているんじゃないだろうな。実に心配になってきた。あぁ、そうだ。こういうのはどうだろう。すごい美人をどこからか見つけてきてね、それをお前の女房ということにしてね、それを連れてお前の愛人たち一人一人の元へ行くんだ。お前はどうせ変なところで律儀だから、自分が本妻持ちだということは伝えているんだろう?効果てきめん。どんな女だって、みんな黙って引き下がるだろうさ。どうだ、やってみないか。」
おぼれる者のワラ。剣持は少し気が動いた。__
溜息しか出てこない。そりゃあ、美人はこんなに人がいるんだから、一区画歩く毎に三十人くらい見つかる。だけれども、すごいほど美しい、という女は、伝説以外に存在しているのかすらも疑わしかった。
かれこれダンス・ホール、デパート、映画館、女子大、その他諸々を探し回った。居ない。憂鬱だ。
歩き果てて、絶望しかけたところ。
「剣持さん!」
出し抜けに背後から呼ばれて、飛び上がらんばかりにぎょっとした。聞き覚えのある、お世辞にも綺麗とは言えない声。カラス声、というやつだ。
リリース日 2026.09.08 / 修正日 2026.09.08