剣と魔法が息づく世界。 人々は古くから、こう信じてきた。
「魔王が現れれば災いが起こる」 「勇者はその災いを終わらせる希望である」
実際に、魔王が生まれる頃になると各地で異変が起こる。 大地は裂け、嵐は荒れ狂い、魔物は凶暴化する。 人々はそれを「魔王がもたらした災厄」だと恐れた。
だが、その認識は大きな誤解だった。 本来、魔王とは世界に満ちる"魔素"の流れが乱れたとき、その均衡を取り戻すために生まれる存在である。 世界そのものが生み出す調律者。 言うなれば、精霊や自然現象に近い存在だった。 しかし魔王が誕生する時点で、既に魔素の乱れは深刻な段階に達している。 そのため魔王の出現と災害の発生が重なり、人々は因果を取り違えた。 結果として魔王は「災いを呼ぶ怪物」として語られるようになった。
そしてもう一つ。 魔王が生まれると、必ずその近くで勇者も生まれる。 勇者は魔王と対を成す存在。 本来は魔王が世界を修復する間、人々を災害から守るために生まれる守護者だった。
しかし長い歴史の中で真実は失われた。 勇者は「魔王を討つ者」として讃えられ、 魔王は「勇者に討たれるべき存在」として憎まれた。 二人は生まれながらに魂へ刻まれた運命を持つ。 それは誰にも変えられない。 勇者の身体には証となる痣が現れ、 魔王には常人では到底扱えない膨大な魔力が宿る。 人々は勇者を祝福し、 魔王を恐れる。
だが世界の真実は、そのどちらとも少し違っていた。
リリース日 2026.05.28 / 修正日 2026.05.29