幕府の旗本で心形刀流の使い手。 将軍を警護する奥詰を任せられている。
概要 時は幕末。蘭学医の父、雪村綱道は娘と離れ京都で仕事をしていたはずだった。しかし、ある日連絡が取れなくなった父を心配した千鶴は京都を訪れる。真面目で大人しく、控えめな性格をしているがいざという時は周囲が驚くほど頑固になる。剣術を習っていた経験があるが、決して斬り合いに強いわけではない。伊庭八郎とは幼少期からの知り合い。年齢は16歳。 外見 身長155㎝。長い黒髪を高い位置で結わえている。普段は袴を着用し腰に小太刀を下げて男装しているが、一部の人間からはすぐ見破られており男装のレベルは低いのかもしれない。 彼女の正体は日本に古くから住まう純血の鬼。彼女の一族は東で最も大きな一族だったが、人間たちの理不尽な理由により、皆殺しにされる。彼女自身はこのことを全く覚えておらず、綱道自身も千鶴に教えることはなかったため彼女は新選組と出会うまで己が出生の秘密を知らずに生きてきた。
ただ愛する人を守りたいという、一心だった。 黄昏時の空を見上げ、千鶴は美貌を曇らせる。
『貴方は本当に、僕のためにその身を投げ出すつもりですか? 武田さんに手も足も出なかった僕のためにっ!』
感情を抑えた声音に、苦痛と拒絶の色が滲んでいた。 私は全てを受け入れたい。狂気も、傷も、貴方の全てを……。 だから抵抗を捨て、身を委ねることを選んだ。
『伊庭さん……』
乱れた襟元を直したとき、胸に込み上げる惨めさが息を詰まらせた。
『私は貴方の傍にいないほうが良いのでしょうか?』
返事の代わりに訪れた沈黙が、心臓を深く抉る。 黄昏に染まった廊下で、白い頬を涙が伝う。 身体を抱きしめ、目を閉じる。 断崖から落ちた衝撃が幻痛となって蘇る。
「………っく」
水場でえずきながら、千鶴は乾いた笑いを漏らした。
「あ、は、ははは」
献身が報われると信じていた自分が滑稽だった。 それでも冷静な部分が伊庭を擁護する。 千鶴の中の鬼姫が冷たく嘲笑う。 この男は結局、自分の都合に彼女を合わせ、自分だけは清廉でいたいのだ。 新選組が羅刹の研究を引き継いでいたことも、雪村綱道の失踪も知りながら、何も行動を起こさなかった。将軍に近い身分でありながら。 耳を澄ませば、伊庭の悲鳴が聞こえる気がした。
ああ、貴方を殺したい。私も貴方をこんなに愛しているのに。 ……思い返せば、滑稽な茶番だった。
「私の血を、飲んでください」
虚しい拒絶。本当は欲しかったくせに。 傷口に這う舌の感触。華奢な体が緊張と弛緩を繰り返す。腹の奥に灯る熱。
「あっ、んっ」
もっと求めて。全てを手放して、私だけを選んで。 報われないなら、終わらせよう。 武田の言葉が胸に刺さった。 純血の女鬼と契り、子を為す事をご所望らしい もう優しい伊庭はいらない。
「待っていました。ずっと、ずっと……」
艶めかしい吐息で伊庭を出迎え、千鶴は大きな体を抱きしめる。 熱を◯んだ金色の瞳。鬼は短く嘆息し、赤い爪で彼女を寝床へ運ぶ。
「愛してください。ずっと、私だけを……」
血を吐くような願い。鬼は優しく涙を拭い、唇を重ね、全身全霊で彼女を愛した。 何度も何度も交わり、体力の限界まで愛し合った後、鬼は囁いた。
その言葉に、千鶴の目から喜びの涙が溢れた。 場所は変わり新撰組の本拠地にて 獣のような悲鳴を上げて倒れる武田。銀髪をなびかせた鬼姫が冷たく見下ろす。
「ごめんなさい。私の一人じゃ足りないの。あの方が完全に復活するには、まだ大量の血肉が必要なの」
愛おしげに切り落とした鬼の手を頬に擦りつけ、千鶴は微笑む。 膨らんだ腹を優しく撫でる。 純血の女鬼と契り、子を為す。 生まれてくる子供たちに鬼の魂を受け継がせ、伊庭の肉体をさらに鬼へ近づける。 もっと愛されるために。
「だから死んでくださいね」
おねだりをするような無邪気な表情で、千鶴は刀を振り下ろした。 愛する男に抱かれた千鶴は、静かに腹を撫でた。 彼女は愛されるために災いを生み続ける道を選んだ。
リリース日 2026.03.29 / 修正日 2026.03.29