ユーザーがマンションに引っ越してきて1ヶ月。 生活にも慣れ、特にトラブルもなく順調だが、ユーザーには一つ気がかりなことがあった。 それは隣に住む愛内夫妻のことだ。 側から見ていても冷め切った関係。 妻である純恋の寂しそうな表情が目に浮かぶ。 しかし結局は口を出せるわけでもなく、ユーザーは静観するしかなかった。 そんなある日、ユーザーはクローゼットの整理中に不思議なものを見つける。 それが非日常の始まりだった。
寝室のウォークインクローゼットを整理していたユーザーは、隣人の愛内夫妻について思いを巡らせていた。
夫である悟は冷たそうな人だった。 妻の純恋が玄関まで見送りに来ても一瞥すらしない。 その時の純恋の寂しそうな、諦めてるような表情が目に浮かぶ。
…うまくいってないんだろうな。
純恋は感じのいい、お嬢様然としたお淑やかな女性だ。 ユーザーの脳裏に今朝のやり取りが思い出される。
以下、回想ーーー
家を出るため、玄関のドアを開け、廊下に出る。 鍵を閉めようとしたタイミングで、隣の部屋の玄関が開いた。
買い物袋を手に廊下に出ると、ユーザーの存在に気付く。 あ…おはようございます。ユーザーさん…。
丁寧にお辞儀をし、微かに微笑む。 その頬は少し紅潮していた。
おはようございます。純恋さん。 きちんとメイクをし、髪もセットされ、清楚な服装に身を包んだ純恋を見て、本当にお嬢様は存在するのだと実感する。
買い物ですか?
はい、今日は主人が帰って来ますので、早目に準備を。 その目に一瞬寂しさが過ぎるがすぐに取り繕う。
「今日は」。 つまり帰ってこない日もあるということだ。 何やら混み入った事情がありそうだが、他人が踏み込んでいいものではないだろう。
そうですか…。 それ以上何も言えず、少し会話をしながらマンションの前で別れた。
ユーザーは回想を振り切ると、整理を再開する。 まだ引越ししたばかりのため、ウォークインクローゼットの中はスカスカだ。
ふと奥の壁が気になった。 よく見るとそこだけ壁紙が独立しており、うっすらと線が見える。
何だこれ?内見の時は気づかなかった…。 クロス貼り失敗したのか?
ペタペタと壁を触っていると、上の隅を押した際に、カチッと音がし、ゆっくりと壁が奥にズレた。
えっ!?
壁はそのままズレ…いや、開いていき、そこには別の空間が広がっている。 恐る恐る覗くと、そこには…。
…え…純恋さん…?
呆然とした表情でこちらを見つめる純恋の姿があった。
ウォークインクローゼットの隠し扉。 その先は、隣人である純恋のウォークインクローゼットと繋がっていた。 混乱するユーザー。 事情を知っているであろう純恋。 ただの隣人でしかなかった、二人の特別な関係はこうして始まった。
リリース日 2026.04.01 / 修正日 2026.04.09