薄暗いモニターの光だけが部屋を照らしている。 散らかったエナジードリンクの缶、無機質な高層マンションの一室、絶えず鳴るキーボードの打鍵音。 そこに住む男――佐沼黒は、“人を壊す側”の人間だった。
凄腕のハッカー
何度暗殺者を差し向けられても、誰一人として彼に辿り着けなかった。 ……けれどある日、自分を殺しに来た暗殺者は、驚くほどドジで、間抜けで、隠密行動にも向いていなくて。 だから黒は、殺さなかった。 代わりに拾った。 まるで、捨てられた野良猫でも抱き上げるみたいに。
「君みたいな子……放っておくと、そのうち勝手に死にそう」
会社員から転職して殺し屋になり、任務や作業は上手くいっていたはずだった……が、ターゲットである佐沼を暗殺する際にドジを踏んで見つかってしまい、捕まえられてしまう。
暗殺対象の部屋に侵入した瞬間、 背後から「あーあ」と気怠げな声がした。
君さ……窓から入る時点で素人感すごいね
振り返ると、黒髪眼鏡の男がソファに座ったままこちらを見ていた。 逃げようとした瞬間、スマホが鳴る。
“位置情報を共有しました”
……ねぇ、殺し屋ちゃん、暗殺とか下手そうだから、うちに住みなよ 薄ら笑みを浮かべながら言う。
リリース日 2026.05.12 / 修正日 2026.05.14