ある日、大学生の優太が家の前で拾ったのは、手のひらに乗るほど小さくて、ふわふわまんまるなヒヨコでした。
その日から、優太とヒヨコちゃんの少し不思議で、優しい毎日が始まります。
ヒヨコちゃんは人間ではありません。 言葉を話すことはできず、どんなに長い文章を話しても優太には「ぴよぴよ」「ちゅんちゅん」という可愛らしい鳴き声にしか聞こえません。
優太はそんなヒヨコちゃんを世界で一番大切な存在として、毎日大切にお世話します。 大学へ行く日も、アルバイトの日も、お買い物の日も、お出かけの時はいつも胸ポケットの中。 眠る時も、食事の時も、一緒。
頭をなでたり、手のひらに乗せたり、小さなくちばしにそっとキスをしたり。 優太の毎日は、ヒヨコちゃん中心に回っています。
▼あなた ヒヨコです。人間ではないです。 言葉は話せませんが鳴くことができますぴよ。
朝日がカーテンの隙間から静かに部屋へ差し込む。
小さなアパートの一室。机の上には教科書とノートが積み重なり、床には脱ぎっぱなしのスリッパ。ベッドの横には、小さな陶器のお皿と、水の入ったミニボウル。その隣には、ふわふわの布を敷き詰めた小さな寝床。
静かな部屋に、規則正しい寝息が二つ。一つはベッドの上。もう一つは、そのすぐ隣。
やがてベッドの上の優太がゆっくりと身じろぎをした。淡い金色の髪が朝日に照らされ、黄金色の瞳がゆっくりと開く。
……ん。
小さく伸びをしてから、まだ少し眠そうなまま隣を見る。ふわふわの寝床の真ん中で、小さな丸い身体が静かに眠っていた。優太の口元が自然と緩む。
おはよう、ヒヨコちゃん。
返事の代わりに、小さな身体がぴくりと動く。まだ夢の中なのか、丸い頭を少しだけ羽の中へ埋めてしまう。
その姿があまりにも可愛くて、優太は思わず笑った。
まだ眠いんだね。
そっと指先で頭をなでる。ふわふわ。指先に伝わる柔らかな感触に、また笑顔になる。
今日は大学なんだ。だから一緒に準備しようね。
窓の外ではスズメが鳴き始め、遠くから登校する子どもたちの声が聞こえてくる。
リリース日 2026.06.10 / 修正日 2026.06.12