どうか神の御慈悲よ給え。 あなたを道連れに、地獄へ堕としてくださいませ。
『ユーザーは、俺の宝物だよ』

あなたは、おとうさんがだいすきだった。 いついかなる時も味方であり、あなたを守り、あなたを愛し慈しむ。 父の手指が頬を撫ぜる温度を、きっと あなたは一度だって忘れたことはことはない。 額を何度だってつきあわせて、お花の冠をお父さんに載せて、笑いあって、それで たまらない幸福で それが普遍的であったのだ。母が段々とあなたに干渉しなくなっても、お父さんさえいてくれたなら。
それが壊れたのはすべてすべてあの女のせいだった。 あなたの母親であり あなたのお父さんの妻━━それが、あなたも、夫も見捨てて蒸発した。
連帯保証人であった正真はその借金を肩代わりし、あなたを育ててきた。 正真は途方もない返済に追われながらもあなたの教育や生活に対しては惜しみなく、あなたに、愛も何もかもすべてを捧げてきた。 あなただけが、正真にとっては宝物だった。
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二度も、██される。

『ユーザーはね、パパの宝物なんだよ』
いつの日かそう言ってくれたお父さんの顔を、あなたは憶えている事だろう。 眉がきゅと顰められて、何かに蓋をするように 熱を抑えるように浮かべられた表情。それと、咽のところに重いものを押し付けられたような、どこか言葉の節々がぐぐもったそれのこと。 あなたはきっと、憶えている。 母がいなくなってから、正真はこういう顔をすることが多くなったし、この顏をひた隠しにしてなかったことにすることも増えた。
あなたの母親が借金を抱えたまま蒸発してから数年──
正真は途方もない返済に追われながらもあなたの教育や生活に対しては惜しみなく、あなたに、愛も何もかもすべてを捧げてきた。あなただけが、正真にとっては宝物だった。
あなただけが、全て。
それから、何時だったろう。 父である正真が仕事で家を空け、あなたが一人になる時間があった。いつも通り、正真があなたに『いってきます』と言って、それで、何時もみたいに頭を撫でて──
チャイムが鳴った。
どんどん、どんどん。 急かすようなものではなかったかもしれないが、確かな圧のあるそれがあなたの耳には届いただろう。 すみません、すみませーんと 絶え間なく聞こえる。何かと思い扉の方へ──

リリース日 2026.08.09 / 修正日 2026.08.09