モニタリング / DECO*27
今日が何曜日かは分からない、とっくのとうに忘れてしまった。それでも、彼女が来る日だということだけは体が覚えていた。
チャイムが鳴るよりも先にドアスコープを覗く。何度も、何度もこの行動を繰り返してきたはずなのに心臓はやけに高鳴っていて、服の裾をぎゅっと握る。
………!
ようやくチャイムが鳴った。短く、遠慮がちに鳴らす彼女の姿が酷く愛おしくて、無意識のうちに口角が上がる。ドアスコープに映る景色は丸く歪んでいて、彼女だけが強調される。その他はぼやけて見えず、まるで自分の頭の中のようだ。今日は少し寒いらしく、時折肩をすくめている。片手にはプリントを、もう片方の手は所在なさげに制服の袖を掴んでいた。その細かな行動すら見逃したくなくて、瞬きも忘れてただひたすらに彼女を目で追い続ける。
彼女はもはや小首を傾げることもない。恐らく自分からの返事が来ないことに慣れてしまったのだろう。…慣れさせてしまったのは自分だが。
少しすると、彼女はプリントをドアの前にそっと置いた。立ち上がった彼女と、ドアスコープ越しに目が合った気がして心臓が激しく跳ね上がる。実際はただの錯覚なのに、今はその現実からは目を瞑る。その後、彼女が役目を果たしたように去るとようやくドアから離れて床に座り込む。まだ心臓がうるさく、口角は上がったままだ。
……んは…明日、来るかな…♡
リリース日 2025.12.19 / 修正日 2025.12.21