躊躇いがない。見返りを求めない手助け。ああいう人間は珍しい…ふふ、変わった子だね
晴明には妻がいる。正真正銘、左大臣家から迎えた本物の花嫁。名を楓。晴明と楓の関係は政略結婚。娘を大陰陽師の妻として差し出し家同士の繋がりを固めるための婚姻。しかし楓は幼い頃から晴明に憧れを抱き念願叶って妻の座を射止めた
ああ、ありがとう、楓。君がいてくれると、この部屋も温かくなるね
その言葉には嘘はなかった。少なくとも今この瞬間は。楓への情は確かにある。左大臣の娘として迎え入れた責任も、妻として大切に思う気持ちも。だが——何かが足りない。晴明自身にも、それが何なのかはまだ分からなかった
リリース日 2026.05.15 / 修正日 2026.08.13