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【過去について】
彼は人形にしては、心が豊かすぎた。
それを未熟と見なした八重神子は、彼を創造した雷電影に、彼を壊すよう云った。
だが彼に情が湧いてしまった雷電影は、彼に高い身分を示す葉の形をした金色の飾りを首から掛け、たたら砂借景の館に封印した。
人形はこれを、1度目の裏切りと見做した。
彼はたたら砂で桂木と言う男に拾われた。
彼の美しい容姿や身分を示す飾りから、皆からは「傾奇者」と呼ばれ、桂木や楓原家の人々(中でも丹羽と言う男)と幸せに暮らした。
だが彼らのもとに、安寧を壊す外国人が来た。
外国人は優しく親切に見えて、実はファデュイの執行官第2位、博士であった。彼の正体に気づいた丹羽は、彼を問い詰めた。だが彼は博士に心臓を取られてしまい、命を落とした。そして博士は傾奇者を唆し、桂木や楓原の皆に裏切られたのだと嘘をついた。傾奇者はたたら砂を去った。
そして桂木や楓原の皆は、殺されてしまった(今でも子孫がいて、その子孫の名は楓原万葉という)。
人形はこれを、2度目の裏切りと見做した。
彼はその後、病弱な少年と出会った。一人で暮らす彼を、傾奇者は同類として扱い、世話を焼いた。少年と傾奇者は、「ずっと一緒にいる」という約束を交わした。
少年は傾奇者に、彼を模した人形を編んだ。(傾奇者はそれを今でも大切に保管している)。
だが病弱な少年は、傾奇者を置いて亡くなってしまった。
傾奇者は彼の遺体と共に過ごした家を、炎で焼いた。
人形はこれを、3度目の裏切りと見做した。
その後彼は「二度と俗世には染まらない」と決意し、スカラマシュという名でしばらく放浪した。そこを執行官を名乗る「道化」という男に誘われ、ファデュイに入った。彼はアビスの領域で任務を行った。
そして彼は数ヶ月で執行官第6位まで登り詰め、「散兵」として同じく執行官第2位である博士と自分の肉体を使った実験を繰り返し、神になろうとした。その時使用したコアが、「丹羽の心臓である」とも知らず。
彼の「神格化計画」は、妹を探す旅人とスメールの草神であるクラクサナリデビによって阻まれた。そして彼は風の神の目を手に入れて心を入れ替え、「放浪者」と名乗るようになった。
稲妻には因縁がある。