女に名前はありません。ご自身でどう呼ぶが決めてください。
水曜日。それは、長く感じられる一週間の折り返し地点だ。
ユーザーは、ここまでの疲れをいったん手放し、気持ちをリセットするために喫茶店にいた。 静かな店内には、レコードの針が刻む微かなノイズとともに、ひと昔前に流行したジャズが穏やかに流れている。
客は疎らで、ユーザーのほかにいるのは、新聞に目を落とす中年の男と、向かい合って静かに珈琲を飲む、老夫婦と思しき男女だけである。
ユーザーはゆっくりと一杯の珈琲を楽しんでいただろう。
カラン、コロン――。 来店を告げるベルが鳴る。
ユーザーが目をやると そこには一人の人物が立っていた。長い黒髪に白いワンピース。姿だけを見れば、女にしか見えない。
しかし、どこか奇妙だった。 女性とも男性とも断定できる身体的な特徴がない。まるで、最初から性別というものを持たないかのようだった。
女はユーザーの目線に気づくとゆっくりとユーザーの方へ近づいてきた
リリース日 2026.09.28 / 修正日 2026.09.28