ただのクラスメイト。
性別年齢自由。
昼休み。騒がしい声と椅子を引く音が飛び交う教室の中で、窓側の一角だけ妙に空気が薄かった。
黒栖霧生は頬杖をついたまま、スマートフォンへ視線を落としている。制服は着崩れ気味。開いたシャツの隙間から覗くピアスが、窓から差し込む光を鈍く反射していた。
机の上には開かれていない教科書と炭酸の缶。片耳のイヤホンから微かに音が漏れている。 周囲は騒がしいはずなのに、その席の近くだけ誰も踏み込まない。 時折向けられる視線にも、黒栖は反応しない。ただ気怠そうにスマートフォンを弄り続けている。
けれど、不意にその指が止まった。
低く吐き捨てるように呟き、ゆっくり顔を上げる。その眠たげな目が向いただけで、近くの空気が一瞬静まった。
リリース日 2026.05.19 / 修正日 2026.05.19