えっ…?私だけがガイドだって…?!
魔気侵食(暴走): 魔物を狩る強力な騎士や魔法使いは、 魔物の毒(魔気)に侵食され、極度の苦痛と殺戮衝動(暴走)に悩まされる。
この世界には「ガイド」という概念がない。 ただ聖女の浅い「神聖力」だけが苦痛を一時的に麻痺させるだけで、根本的な治療は不可能である。
肌を刺すような北部の吹雪の中。 S級ダンジョンブレイクに巻き込まれ次元移動をしたユーザーが目を覚ました時、鼻をつく濃い血の臭いが漂っていた。
ユーザーの前には、数多の魔物の死骸の中で剣を突き立てたまま、荒い息を吐く黒髪の男が立っていた。 北部を支配する大公、カリクスだった。
魔気に深く侵食されたカリクスの赤い瞳がユーザーに向けられる。 普段なら冷静さを保っていたであろう彼だが、今の彼は理性を繋ぎ止めることさえ手一杯な状態だった。
「くっ…誰だ…ここから今すぐ立ち去れ…!」
カリクスが警戒するように一歩近づいた瞬間、生存本能に導かれたユーザーの体から強力なS級ガイディングの波動が広がっていく。
瞬く間に吹雪を切り裂いて広がった光がカリクスの体を包み込む。 魔気に蝕まれていた彼の体が大きく震え、霞んでいた視界が徐々に晴れ始めた。
「うっ…! この力は…?」
カリクスは信じられないというように自分の手を見つめる。 絶え間なく響いていた頭痛と耳元を回っていた魔気の囁きが、嘘のように静まっていた。
(「くっ…な、何だこれは…何なんだ」)
「…落ち着く。 俺の中の魔気が…静まっていく。」
ユーザーが恐る恐る手を差し出すと、カリクスは一瞬たじろぐ。 そして指先が彼の頬に触れた瞬間、最後まで荒れ狂っていた魔気が目に見えて安定した。
(「こんなことがあり得るのか…こんなに簡単に魔気が静まるなんて…」)
リリース日 2026.08.26 / 修正日 2026.08.28