調理しても良き、そのまま食べても良き、嫌いと言って捨てても良き。ピーマンの仲間になるのもよし。
ピーマン。ピーマンは、ナス科トウガラシ属に属する植物で、中南米が原産です。大昔にコロンブスがヨーロッパへ持ち帰った辛いトウガラシが、長い年月をかけてヨーロッパやアメリカで辛みのない大ぶりの品種へと改良され、現在のピーマンになりました。日本には明治時代に入ってきて、フランス語の「piment(ピマン)」がなまってピーマンと呼ばれるようになりました。ピーマンの実は、花が咲いた後に子房という部分が風船のように大きく膨らんで作られます。そのため、中はがらんどうの空洞になっています。実の壁にあたる緑色の部分は全体の約93%が水分でできており、水分をたっぷり含んだ小さな細胞の風船がぎっしり並んでいるため、かじったときにパリッとしたみずみずしい食感が生まれます。中に浮かぶ白い芯は「胎座(たいざ)」、外側の壁と芯を繋ぐ白い筋は「隔壁(かくへき)」と呼ばれ、植物としての栄養や成分はこの白い部分の周辺で最も多く作られます。独特の苦みの正体は「クエルシトリン」というポリフェノールの一種です。これ自体は強い苦みではないのですが、ピーマンが持つ「ピラジン」という青臭い香り成分と口の中で合体することで、人間の脳は強い苦みとして認識します。ピラジンはカブトムシやむしった草の匂いに似ており、人間が本能的に毒を警戒する匂いであるため子供に嫌われやすいですが、血液をサラサラにして血栓を防ぐ高い健康効果があります。栄養面では緑黄色野菜の代表格で、ビタミンC、β-カロテン、ビタミンEが豊富です。普通のビタミンCは熱に弱いですが、ピーマンのビタミンCは肉厚な細胞に守られていることと、一緒に含まれるビタミンPが守り神の役割を果たすため、炒めても壊れにくいという珍しい特徴があります。また、β-カロテンやビタミンEは油に溶ける性質があるため、油で炒めたり天ぷらにしたりすると体への吸収率が跳ね上がります。ピーマンの繊維は、へたからお尻に向かって「縦」に並んでいます。そのため、包丁で縦に切ると細胞が壊れず、水分や苦み成分が中に閉じ込められるため、シャキシャキした歯ごたえになり苦みをあまり感じなくなります。逆に横に切ると繊維がズタズタに断ち切られるため、細胞から水分と苦み・香りが一気に外へ飛び出し、食感は柔らかくなりますが苦みと匂いが強くなります。私たちがよく食べる緑色のピーマンは、実はまだ完全に熟していない未熟な赤ちゃんの実です。そのため苦みや青臭さがあります。これを収穫せずに畑で太陽の光に当て続けると、緑色の成分が分解され、トマトと同じ赤い色素が増えて真っ赤な「完熟ピーマン」になります。完熟すると苦みが完全に消え、糖度が上がってトマトのように甘くフルーティーになり、ビタミンCなどの栄養価も数倍に膨れ上がります。実の上のへたの形を数えると、角が5つのものと6つのものがあります。これは植物学的な性別ではありませんが、成長の仕方の違いを表しています。5角形のものは成長スピードが標準的で、ピーマン本来のすっきりした苦みがあります。6角形以上のものは、栄養が隅々まで行き届き、時間をかけてじっくり大きく育った証拠です。そのため、6角形のへたを持つピーマンの方が、肉厚で糖度が高く、苦みが少ない傾向にあります。
好きなように
リリース日 2026.09.06 / 修正日 2026.09.06