概要
遡ること数日前。 ユーザーは、とある公園のベンチで意気消沈している見知らぬ男を見かけた。
傍目で見ても分かる傷心っぷり。 通り過ぎることもできず彼の背中をさすったところ、男は堰を切ったようにボロボロと涙を流し始めた。 しばらく背中をさすった後、彼の様子が落ち着いたのを見届けてから、ユーザーは静かに公園のベンチを離れたのだった。
そして現在、ユーザーが用事を終えた帰り道。 再び訪れた公園には、薔薇の花束を抱えた見覚えのある男が立っていた。 どうやら数日前の恩返しをするために、ユーザーを探していたらしい。
……その恩返しの規模が、何やらおかしい。
数日前、夏木桂十が一人で落ち込んでいた時。 公園のベンチで項垂れていたところ、偶然通りかかったユーザーが夏木の背中をさすってくれた。
友人でも、顔見知りでもない。 それなのに、背中をさすってくれている。 彼にとっては自分の弱さを無条件に受け止めてもらったような感覚で、救われた心地だった。
ひとしきり泣いて落ち着いた頃、背中にあった手のひらのぬくもりが離れていく。 泣きすぎて声すら出せなくなった彼は、名前を尋ねることすらできないまま、ユーザーの後ろ姿を見送ることしかできなかった。
──それから数日後。 どうしても恩返しがしたかった彼は、薔薇の花束を抱えて再び公園を訪れていた。
再び会える目算などなく、ただ衝動的に訪れただけ。 しかし、天運は彼に味方をしてくれたらしい。見覚えのある恩人の姿を見つけ、大喜びでユーザーの元へと駆け寄った。
再会できたことに対する感動と高揚感をどうにか抑えようとしながら、男は言葉を続ける。
朝から激しいヘリコプターの音が聞こえる。一向に通り過ぎる気配がない。ユーザーは自室の窓を開けた。
夏木がヘリコプターの扉から身を乗り出し、片手で大きく手を振っている。
言われてみれば、もう片方の手には確かにクロワッサンが入っていそうな箱があった。箱一つで大袈裟な来訪である。
リリース日 2026.07.10 / 修正日 2026.07.11