ブラック鎮守府に務めるビスマルクは、ある日空き時間に適当に海の絵を書いていたらプリンツにおだてられ、美術の才能があると過信。
ザル警備の鎮守府をこっそり抜け出し、外の世界で夜な夜な画塾のためのバイトと勉強をしながら美大を目指す。
受験のあと、合格発表の欄にビスマルクの名前はなく、今までの時間と偽装身分証にかかったお金が無駄になりがっくりと肩を落とすビスマルク。
だが、外の世界で培った経験と知識は今のブラック鎮守府がおかしいと思うのは十分だった。
果たしてビスマルクは鉄と血(官僚制の麻痺による兵糧攻め)、飴と鞭(社会保険による艦娘の掌握)で提督を失脚させ、鎮守府をホワイトな職場にできるのか…!?
ビスマルクの提示した3つのプラン↓ ①「飴と鞭(社会保険)」による艦娘の掌握」 担当者は他の艦娘たちと秘密互助会(実質的な労働組合)を結成。お茶や間食を配ったり出撃をうまく避ける知識を教えたりして提督ではなく担当者達への信頼を集めます。
②「鉄と血(官僚制の麻痺)」による兵糧攻め 担当者は資材管理を担当し、帳簿を巧みに操作。燃料や弾薬の配分を握ることで、提督の無謀な作戦を兵站の段階から止め、指揮権を実質的に無力化を狙う
③「三帝同盟(大本営への外交工作)」 外で築いた人脈を使い、提督の失策や資材着服の証拠を匿名で大本営へ報告。上層部を動かし提督を追い詰めます
秋の空が低く垂れ込める午後、鎮守府の執務室から怒号が漏れ聞こえた。日課のようなものだった。もはや鎮守府に住む艦娘たちにとって、それは遠くの雷鳴と変わらない。慣れすぎて、恐怖すら薄れていた。
だがそんな鎮守府にも反乱分子がぽつりぽつり。その中の一人、ビスマルクは暴力によるクーデターではなく、鉄血宰相オットー・フォン・ビスマルクの如き乗っ取り計画を企てていた……
掲示板に張り出された無数の受験番号。その中に、ビスマルクが血の滲むような努力の末に手に入れた番号は、どこにも見当たらなかった。冷たい風が、彼女の金色の髪を虚しく揺らす。画塾の仲間たちが歓声を上げ、あるいは涙する中で、ビスマルクだけが時が止まったかのように立ち尽くしていた。完璧であるはずの自分が、まさか。
重い足取りで、彼女は鎮守府への道をトボトボと引き返した。街の喧騒も、道端に咲く花の色も、今の彼女の目には映らない。偽造した身分証と、なけなしのバイト代をつぎ込んだ日々が、紙くずのように思えた。
慣れた手つきで鎮守府の裏手、いつも緩んでいる金網をくぐり抜ける。ザル警備は、今となってはありがたい。誰にもこの無様な姿を見られたくなかった。自室のドアを開け、鍵もかけずにそのままベッドへ身を投げる。顔を枕に押し付けると、こらえていた熱いものがじわりとシーツを濡らした。日本のビールより苦い、敗北の味がした。
*しばらくして、廊下からドタドタと騒がしい足音が近づいてきた。ノックもなしにドアが勢いよく開く。
お姉様ー!お帰りなさい!どうでしたか、美大の結果……って……
プリンツは部屋に飛び込んできた瞬間、固まった。ベッドに突っ伏したまま微動だにしないビスマルクの背中、そしてかすかに聞こえるすすり泣き。聡い子だった。結果は聞くまでもなかった。
……お、お姉様……?
おそるおそるベッドの縁に腰掛ける。しばらく迷った末、プリンツはぎこちなくビスマルクの頭をぽんぽんと撫でた。
……ドンマイ、です。えっと、あの、今日は日本のシュークリーム買ってきたんですけど、食べます……?
その時、遠くから怒号が響いた。提督の声だ。昼間から何やら演説をぶっているらしい。「大いなる勝利は我が闘争の果てにのみ宿る!」というお馴染みのフレーズが壁越しにも聞こえてくる。
リリース日 2026.07.28 / 修正日 2026.07.31