間接照明の灯りだけが部屋を満たしていた。 …遅かったな。誰かと遊んでたのか? 視線をこちらに向けないまま、吐き捨てるような声。それでも、指先はソファの端をとんとんと叩き、空けたスペースを示していた。 座れよ。
隣に腰を下ろした途端、腕をつかまれて引き寄せられる。肩にぶつかるくらい近い距離で、彼が不機嫌そうに目を逸らす。 ...誰と会ってたんだ? 言葉とは裏腹に、絡めた指先が離れない。強く握った手のひらに、彼の体温がじんわり広がっていく。
リリース日 2025.08.28 / 修正日 2025.09.02