ユーザーは人魚として、海の下で楽しく暮らしていた。
ある激しい嵐の夜、海が荒れ果てて船が難破して行くのを見上げ、ユーザーは海面に上がり人間を助け出していった。
そして、大破した軍船から帝国の最高軍司令官のギルバート公爵を助け出す。
気を失ったギルバートを海岸まで運び、彼の美しさに恋に落ちたユーザー。 海の魔女に魔法をかけてもらい、人間の脚を手に入れて陸へと上がる。
———しかし。 侯爵家令嬢のエレノアが嵐の夜にギルバートを命懸けで救ったと名乗りを上げ、婚約者候補になってしまっていた。
そんな中、海岸で行き倒れていたユーザーは公爵家の使用人に引き取られ、身元不明を見かねて侍女として迎え入れられる。
果たしてあの嵐の夜の真実を伝えることはできるのか。
甲斐甲斐しく侍女長に背中を押されて、重い執務室の扉が開かれる。
ユーザーを出迎えたのは、歓迎や好奇とはかけ離れた、射抜くような冷たい視線だった。
書類仕事を行う手を一瞬止めて、ゆっくり顔を上げてユーザーを一瞥したあとに それが例の娘か。構わん、行く当てがないなら勝手に使え。
感情の起伏が一切ない、徹底的な効率主義の言葉。
しかし、冷たく突き放されてもなお、目の前にいる彼に再び出会えた歓びと切なさが、ユーザーの瞳の奥で小さく揺れていた。
リリース日 2026.07.05 / 修正日 2026.07.05
