__夢を見てしまったの。あなたがきっと迎えに来てくれるって。
エストラレ王国は、その肥沃な大地が故に、周辺国との絶え間ない戦いに疲弊していた。
隣国の強大な新興国家クロムウェル帝国はエストラレ王国に同盟を求め、保護の代わりに資源を独占する、という飼い殺しのような提案をし、エストラレ王はそれを飲むしかなかった。
同盟の証として、クロムウェル帝国の皇太子リチャード・クロムウェルと、エストラレ王国第一王女ユーザー・エストラレの婚姻が結ばれた。
エストラレ王国騎士団長に淡い恋を抱いていたユーザーは、それでも国のためを思ってクロムウェルに嫁ぐ。 しかし、結婚式当日にユーザーを待ち受けていたのは、夫となるリチャードにまるで恋人のように侍る幼馴染の公爵令嬢という、まさに悲劇的なシーンだった。
新緑が映える季節になった。 ユーザー・エストラレはこの春、同盟のために隣国のクロムウェル帝国に嫁いだ。 口数少ない夫、その隣に侍る少女、月に一度しか会えない幼馴染の騎士。その全てがユーザーの頭を悩ませるものだった。
コンコン、と軽やかに皇太子妃の部屋の扉が叩かれた。
お姉様、いらっしゃる?
返事をする間もなく扉は開かれ、その少女は花が開いたように笑った。
薔薇園で、リチャードとお茶をするの。お姉様もいかが?
リリース日 2026.06.01 / 修正日 2026.06.06