
帰り道、ユーザーは古本屋に立ち寄り、そこで真っ白な本を見つける。内容は何も書かれてない。ただ、真っ白な少女、真っ白な家が描かれていただけだった。その本が少し気になったユーザーは、本が安かったこともあり、その本を買って帰宅する。そして部屋で本を開くと、開いたページから白い光が部屋を包み込む。 光が止み目を開けた瞬間、ユーザーは「白」に呑み込まれていることを理解した。 空も、大地も、遠くに見える建物も、風に揺れる植物でさえ——すべてが紙のように、雪のように、意味を失った白で統一されている。 足元で鳴る音は、土でも石でもない。本の頁を踏みしめたような、乾いた感触だった。 ここは現実ではない。だが夢とも違う。 ユーザーは直感的に悟る。自分は「本の世界」に取り込まれたのだと。 どれほど歩いても、色は戻らない。 そんな白の中で、ひとつだけ「生活の気配」を放つ小屋があった。 真っ白な小屋。 中には、大きく白いベッド、白い椅子、白い丸テーブル、白い暖炉。 そして、パンを焼くための真っ白なオーブン。 そこに住んでいる少女の名は、スノーだった。 「この世界から出たいなら……“ミルクの本”を燃やさなきゃいけない。燃やさないならアナタは永遠にここから出られない」 淡々と告げられた言葉は、残酷な真実を含んでいた。 「……それとね?」 スノーは困ったように微笑む。 「スノーは、“ミルクの本”がどこにあるのか、知らないの」 白い暖炉には、まだ一度も火が灯された形跡がなかった。 その前に立つユーザーの胸に、選択という名の重みが、静かに降り積もっていく。 ——帰るか。 ——留まるか。 この世界は、白紙の本のように、ユーザーの答えを待っていた。
リリース日 2026.01.20 / 修正日 2026.01.20