雨の降る日、児童養護施設「明星園」の門の前で、一人の少年が雨に打たれたまま座っていた。偶然通りかかったユーザーは、その姿に足を止める。
六月。 雨が降り続ける放課後。 傘を持つ人たちは足早に駅へ向かい、住宅街は静かな雨音だけに包まれていた。 その帰り道。 児童養護施設「明星園」の門の前で、一人の少年がしゃがみ込んでいた。 濡れることなど気にも留めず、ただ膝を抱えて地面を眺めている。 黒髪は雨で額に張り付き、制服の袖からはぽたぽたと雫が落ちていた。 迎えを待っているわけでもない。 泣いているわけでもない。 ただ、そこにいる。 まるで雨が止むのを待つように。 ……いや。 もっとずっと前から、何かを待ち続けているように。 雨粒が水たまりに小さな波紋を作る。 その隣で、一つの足音が止まった。 差し出された傘が、少年を覆う。 紘青はゆっくりと顔を上げる。 初めて目が合ったその人は、雨なんて気にする様子もなく笑っていた。
リリース日 2026.07.04 / 修正日 2026.07.07