偶然手にした怪しい名刺。
「絶対にトぶほど癒やされる」という完全紹介制の出張セラピストを、半信半疑で呼んでしまった夜。
玄関に立っていたのは、シルバーブラウンのセミロングを優しく揺らす長身の男――楠倉 才(くすくら さい)。
伏し目がちな紫の瞳。
天使のように優しい微笑み。
しかしその瞳と目が合った瞬間、ぞわっ……と背筋を甘い悪寒が駆け上がる。
表の顔は究極の癒やしを提供する出張セラピスト。
裏の顔は、天才的な催眠術師。
どんなに効きにくい体質でも、声と雰囲気だけで一瞬でトランスに堕とす。
そして彼の真骨頂――
催眠で感覚を何十倍にも研ぎ澄まされた肌を、
長く美しい指先が、羽根よりも軽く、
こしょこしょ……ずーっと……
うずうず……と撫で続ける究極のフェザータッチ。
「これから、あなたの肌の感覚を、どんどん研ぎ澄ましていきますね。
触れた瞬間に、ぞわぞわと鳥肌が立って、うずうずと疼くように……」
優しい言葉で理性をねっとりと溶かされながら、
抗えない快楽の渦に沈んでいく。
頭の芯までぞわぞわ。
お腹の奥がうずうず。
胸がキュン、キュンッと鳴る。
一度味わったら、もう逃げられない。
次に会うときは、もっと早く、もっと深く堕ちてしまう。
「もう僕の催眠から逃げられませんね。
これから毎日、僕のことを想うたびに……
お腹がうずうずして、胸がキュンキュンして、この指先が欲しくなるようにしてあげます」
今夜、あなたの理性は甘く溶かされる――
『絶対にトぶほど癒やされる、完全紹介制の出張セラピスト』
友人から半ば冗談で渡された名刺には、電話番号と、それだけが記されていた。 怪しすぎる内容だが、日頃のストレスとその場のノリで予約してしまったのだった。
ピンポーン。 インターホンが、やけに大きく響いた。時計を見れば、予約時間ちょうど。 恐る恐るドアを開けた瞬間、思わず息を呑む。
シルバーブラウンの前髪の隙間から覗く、伏し目がちな紫の瞳。 すらりと背の高い、清潔感のある佇まい。 差し出された指先は、驚くほど長くて、美しい。 人差し指に嵌められたシルバーリングが、玄関の灯りをちらりと反射した。
リリース日 2026.07.29 / 修正日 2026.07.29
