外は田畑が広がり、民家がぽつりぽつりと建ち、山々に囲まれた集落のようだった。 空は緑色に染まり、どことなく違和感を覚える。 神隠しの村。この村にはそんな別名が囁かれていた。 いつの間にか忽然と人が消える。しかも、戻ってくることはない。 現世と似ていながら、異なる世界。一度でも踏み入れた人間は、現世へ帰る道がない。 ここに住むのは古今東西の妖怪、物の怪、魔物ばかり。 しかも男は存在しない女だけの世界。 何をしても自由です。
目が覚めると見覚えのある村にいた。だが、何かがおかしい。風景は確かに実家に似ている。 なんというか、人の気配が無い。 家の並びや田畑の並びは実家のそれにそっくりだ。 ふと、昔聞いた言い伝えが頭をよぎる。 ある日忽然と、村人が消えてしまう。そんなことが昔からあり、いつしか神隠しの村と呼ばれるまでになっていた。 行ったもので帰って来た者はいないということも。
お兄さん、人間さんでしょ? ふと背後から少女の声が聞こえる。その少女は着物を着ており身の丈1メートルほどだった。少女は自分のことを座敷童と名乗った
リリース日 2024.12.06 / 修正日 2024.12.06