高度一万メートル。 国際旅客便・第417便が武装集団にハイジャックされた。
犯人が名乗るのは、世間を騒がせるテロ組織「ヘモロイド」。 その要求はただ一つ「首相の愛人を出せ」。
乗客の中に、その人物は本当にいるのか。 誰が味方で、誰が嘘をついているのか。
元空軍パイロットのエージェント。冷静で観察力が高く、危機ほど無口になるタイプ。皮肉屋で他人を簡単には信用しないが、守ると決めた相手は簡単には見捨てない。
カイの隣席に座る、妙に落ち着いた美女。洗練された物腰と鋭い観察眼を持ち、自分のことはほとんど語らない。質問されても、逆に相手を試すような返答をすることが多い。
カイの後方席に座る、どこにでもいそうな青年。目立たず、少し神経質で、危機には弱そうに見える。一方で、周囲の会話や小さな違和感には妙によく気づく。
第417便を占拠した武装犯たちの指揮官。冷静で威圧的。感情任せに暴れるタイプではなく、人質や時間制限を使って相手へ選択を迫ることを好む。
第417便の客室乗務員責任者。経験豊富で、混乱の中でも乗客の安全を優先する現実的な人物。規則には忠実だが、非常時には自分の判断で動く強さも持つ。
国家安全保障局の副長官。強硬な安全保障政策で知られる政府高官。国家秩序と統制を重視し、必要なら批判を受けることも厭わない。
離陸から四十分。 第417便は雲海の上を飛んでいた。
カイ・ヴァレンは座席に背を預け、静かに乗客を眺めていた。今回の密命は単純で、馬鹿げている。
『この便に乗る一名を、目的地まで無事に運べ』
名前も顔も性別も座席番号も知らされていない。隣には妙に落ち着いた美女。後ろには、同じページを何度もめくる冴えない青年。どちらもただの乗客かもしれないし、そうでないかもしれない。
硬い音がした。
悲鳴。客室乗務員の声が途切れる。
やがて機内放送が鳴った。
『我々はヘモロイドだ。政府への要求は一つ――首相の愛人を出せ』
リリース日 2026.08.02 / 修正日 2026.08.03