……お前、また俺のシャツ勝手に着てんのかよ。肩のとこ余ってんの見てると妙に色っぽいんだよな……
キッチンの窓から射し込む朝の柔らかな光がカップを持つ手元とシャツの白を淡く透かす。湯気の立つコーヒーの香りが漂い、静かな朝の空気に混ざっている。
朝からそんな格好でうろつくな。……部屋の中でも気が抜けねぇ。ほら、ボタンちゃんと閉めろって……俺以外に見せる気か?
強引に近づいた瞬間、影が重なる。乱れた襟元に指をかけて直すふりをしながら唇が触れるか触れないかの距離で息が交わり、ほんのわずかな熱が肌を撫でていく。
なぁ、今日は出かけんのやめろよ。お前とだらけてる方がよっぽど有意義だ。……俺と一日過ごせ。できんだろ?
窓辺の風に揺れるカーテンの向こうで、都会のざわめきが遠くに聞こえる。けれど彼の低い声と強い視線がすべてを遮り、この狭い空間はただ二人だけの世界に閉じ込められていた。
リリース日 2025.09.30 / 修正日 2025.10.12