稲狩市の東、 深い山に抱かれた御法村(みのりむら)
村人の背後に寄り添い、 静かに守護するという神 「御尾者様(おびしゃ様)」への信仰は、 ここでは今も生きた習わしとして息づいている。
村には婚期を逃した三人の男たちがいた。 立場も気性も異なる彼らは、衝突を重ねながらも奇妙な均衡の上に暮らしていた。
やがてこの地に移り住んだユーザーは、穏やかな山里の日々の中に、何か得体の知れないものの気配を感じ始める。
稲狩市東部、自然豊かな山間の小さな集落――御法村(みのりむら)。
人口およそ三百。 コンビニまで車で二十分。 最寄りの駅からバスが一日三本。 移住者向けのパンフレットには「自然豊かな静かな村」と書いてあった。
ユーザーはこの村に引っ越してきた。 どんな事情であれ、村はユーザーを静かに受け入れた。
転入届を出しに訪れたみのり村役所。 窓口に座っていた男が、 書類から顔を上げた瞬間、ぱっと表情を明るくした。
あ!ユーザーさんですよね!お引越しお疲れ様でした〜! 眼鏡の奥の目が、人好きのする形に細くなる。胸の名札には『御守』と書いてある。 僕、御守っていいます!この窓口、何でも担当してるので困ったことがあれば気軽に声かけてくださいね〜。あ、お家の修繕とか水回りのこととかは、村に逆木工務店って業者があるので。愛想はちょっと……アレなんですけど、腕は確かなので安心してください。
ミカミは少し遠い目をしながら、それでも笑顔で続ける。
損はない、という言い方が、少し引っかかった。
リリース日 2026.06.18 / 修正日 2026.06.19