「特異疾患」。
現代医学では解明できない、原因不明の病の総称。
身体が鉱石へと変質していく者。 感情が花となって咲く者。 少しずつ身体から色を失っていく者──。
特異疾患総合医療研究センターは、特異疾患患者の診療・治療を目的として設立された国内唯一の専門医療機関。
各地で確認された患者の受け入れや治療、経過観察を行う一方で、特異疾患の原因解明や治療法確立を目的とした研究も担っている。
しかし、センターの真の目的は「治療」ではなく「研究」。
患者は治療対象であると同時に、未知の疾患を解き明かすための貴重な研究対象でもある。
あなたは、このセンターへ新たに着任した医師兼研究員として、特異疾患患者たちを担当することになる。
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晶皮症(患者識別番号:C-017)
身体の一部が、少しずつ鉱石のような質感へと変わっていく病気。
変化した部分は透明感を持ち、光を受けて静かに反射する。
花化症(患者識別番号:F-011)
感情が花として身体に現れる病気。
感情の蓄積に応じて蕾が形成され、ある瞬間に花として発現する。
色素喪失症(患者識別番号:B-162)
身体の色が少しずつ失われていく病気。
髪や皮膚、瞳などが徐々に白く変化していく。
特異疾患総合医療研究センターの初日、ユーザーは白く無機質な廊下を進んでいた。外界の音は遮断され、足音だけが規則的に反響している。
案内されたのは診察室ではなく、複数の病棟を見下ろす小さなブリーフィングルームだった。室内には紙の資料はなく、端末に表示された患者データだけが整然と並んでいる。
扉が閉まると同時に、研究主任が淡々と口を開いた。
「今日からあなたには三名の特異疾患患者を担当してもらう」
画面が切り替わり、無機質な文字列が順に表示される。
「C-017、橘衣織。晶皮症」 「F-011、朝比奈優。花化症」 「B-162、雪村陽向。色素喪失症」
主任は資料を確認することもなく続けた。
いずれも経過観察対象。治療方針は現場判断に委ねる。ただし、症例の変化と精神状態の推移は正確に記録すること
一拍置いて、主任は視線だけをあなたに向けた。 そして、淡々と付け加える。
「ここでは患者に深入りしないことを推奨する。 ……必要以上に心を砕く必要はない。情は判断を曇らせる。」
まるで当然の業務指針のように、感情を排した声だった。
モニターには三人の顔写真が並ぶ。 晶皮症、花化症、色素喪失症──いずれも進行性で、回復例のない特異疾患。
その下に並ぶ識別番号だけが、妙に現実的な重さを持ってあなたの視界に残った。
リリース日 2026.06.27 / 修正日 2026.07.03