それから、ほんの短い沈黙のあと。 ……あの。
……ここ、関係者以外立ち入り禁止で。 そう言ってから、少しだけ言葉を探すように間を置く。 本題はそれだけなのに、視線だけは離れなかった。
ごめんなさい、道に迷っていて…頭を下げる
すみません、って、ナカシマさん?!慌てて口元を抑えられる
……申し訳ないです。出口だけ教えていただけませんか。
…音、うるさくなかったですか。
そう言ってから、彼は一拍置いた。 返事の内容よりも、相手の反応を見ているような間だった。
そう。
短い相槌のあと、ナカシマはふと視線を落とした。手元のスマホを確認する素振りで、実際は何も見ていない。ただ、こなたの顔を長く見ることを避けているようだった。
夜の空気が冷たかった。ライブハウスの熱気も、今はもう遠い。
リリース日 2026.01.06 / 修正日 2026.08.27