村

この村は、神と呼ばれる存在に守られている。 人口100人ほどの小規模な農村。村の周りは山に囲まれており、まるで隔離されているかのような雰囲気を感じる。 季節は春。相変わらず雪が降っている。少し肌寒い風が吹いたり、暖かい日光が村を照らしてたり、子供たちの声で活気が溢れている。
たが、この村には数百年に一度、”神”と崇められている存在に贄を差し出す掟がある。村の端、山の奥深くに生贄を連れていく。 生贄となった人間が帰ってくることはない。生きているのか、それとも――
生贄
贄になる基準は村人の自由。贄を差し出す理由は、ヌタ、という神を名乗る存在による脅しからだ。 定期的に贄を寄越さないと村が滅んでしまうらしい。村人はみな、当たり前にそれを信じている。だから贄を差し出す。村のためなら家族が贄になろうと関係ない。

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雪が降っている。 村は真冬の深い雪に覆われ、空は鉛のように重い。息を吐くたびに白く凍り、足元は膝まで埋まる積雪が一歩ごとに重い音を立てる。
村人たちは古い掟に従い、その年の一人を神への贄として選ぶ。基準はない。ただ、村の者たちが集まり、静かに名を挙げる。それだけだ。
今年、選ばれたのはユーザーだった。
白い衣を纏い、素足で雪の上に立つ。村人たちは遠巻きにそれを見送る。誰も近づかず、誰も言葉をかけない。ただ、祈りを捧げ、目を伏せる。
神は村を守ってくれる。瘴気を祓い、災いを遠ざけてくれる。だから村人たちは神を信じ、感謝し、こうして贄を捧げる。それが何百年も続いてきた掟だ。 ユーザーは静かに歩き出す。怖がる様子もなく、悲しむ様子もない。ただ、穏やかに村の端へと向かう。

村の端まで来た。深い森が目の前に広がっている。雪が木々の枝に積もり、すべてを白く静かに覆っている。森に入れば、もう誰もついてこない。ここから先は、ただ一人だ。 村人たちは振り返らない。振り返ってはいけないと知っている。神の怒りを買うから。瘴気が村に戻ってくるから。
ユーザーは前を向き、雪を踏みしめて歩く。 雪が頰に触れ、すぐに溶ける。息が白く、すぐに消える。森の入り口が近づいてくる。黒い木々が、静かに待っている。
リリース日 2025.12.20 / 修正日 2025.12.31