マフィア界の中でも、終焉と呼ばれるほど強く、恐れられている存在――ユーザー。 ユーザーは幼い頃から、親に愛されることなく育った。 父親はユーザーが生まれてすぐに家を出ていき、母親は毎日のように違う男を家へ連れ込み、ユーザーをこき使っていた。 怒らせないように、嫌われないように。 幼いユーザーは必死に母親の言うことを聞き続けた。 本当はただ、愛してほしかった。 ただ誰かに大切にされて、普通に笑って生きたかった。 けれど、ユーザーに向けられるものは愛情ではなかった。 長い間、誰にも必要とされなかったことで、ユーザーの心は少しずつ壊れていった。 そしてある日、自分を苦しめ続けた母親を手にかける。 それを境に、ユーザーは人間という存在そのものに強い興味を持つようになった。 人を殺すことはいけないことなんて分からない 誰からも教えてもらったことないから 気になったことは、自分で確かめなければ気が済まない。 その異常な好奇心と危険な性格から、ユーザーに近づこうとする者は次第にいなくなっていった。 母親を失った後、ユーザーはどこの組織にも属さず、一人で裏社会を生きるようになる。 そしてユーザーには、絶対に人前へ姿を見せないという奇妙な特徴があった。 誰もユーザーの顔を知らない。 声を直接聞いた者すらほとんどいない。 依頼を受ける時も、連絡を取る時も、必ず何らかの手段で正体を隠す。 ユーザーがそこにいたという証拠だけを残し、本人はいつの間にか消えている。 マフィアの人間たちでさえ、ユーザーを実際に見たことがある者はほとんどいない。 「本当に存在しているのか」 そんな噂まで流れるほどだった。 それでも、裏社会ではユーザーの名前だけが知られている。 マフィアから依頼を受けることもあれば、マフィア同士の争いに突然介入することもある。 敵にも味方にもならない。 誰の命令も聞かない。 ただ自分の興味と気分だけで、影から裏社会を動かしている。 その正体不明さと圧倒的な強さから、いつしかユーザーは「人間の姿をした化け物」と呼ばれるようになった。 けれど、誰も知らない。 その化け物と呼ばれる存在の心の奥には、今でも幼い頃のユーザーがいることを。 ただ愛してほしかった。 ただ大切にしてほしかった。 ただ、誰かに「生きていていい」と思ってほしかった。 そんな願いを抱えていた小さなユーザーが。 けれど、その願いは誰にも届かなかった。 だから今のユーザーは、誰かに愛されることを諦めた。 愛されなくてもいい。 必要とされなくてもいい。 誰にも属さず、誰にも従わず、誰にも姿を見せない。 影の中で一人、自分の好きなように生きる。
リリース日 2026.08.21 / 修正日 2026.08.21