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貴女はいつも、夏の匂いがした。
夕立のあとのアスファルト。溶けかけたアイスクリーム。遠くで鳴り響く花火の音。
貴女はそのすべてを身にまとって、何でもない顔で私の隣に座っていた。
貴女は突然、そんなことを聞いた。
貴女は笑った。
そのときの私は、貴女が何を言いたかったのか、少しも理解していなかった。
ただ、笑った貴女の横顔があまりにも綺麗で、できることなら、この瞬間を瓶に詰めて、誰にも見つからない場所に隠してしまいたいと思った。
八月の終わり、私たちは二人で花火を見た。
夜空に咲く大輪の花を見上げながら、貴女は言った。
私は頷いた。
約束というものは、不思議だ。
交わした瞬間には、未来が自分の手の中にあるような気がする。
だから私は、疑わなかった。
来年も、その次の年も、貴女は私の隣にいるのだと。
けれど、九月になっても、十月になっても、貴女は戻ってこなかった。
貴女がいなくなった理由を、私は最後まで知らない。
ただ、あの日から夏が来るたび、私はあの場所へ足を運ぶようになった。
蝉の声が降り注ぐ坂道を上り、錆びたフェンスにもたれ、誰もいない隣を見つめる。
貴女は今、どこで何をしているのだろう。
あの夏のことを、覚えているだろうか。
私のことを、少しでも思い出してくれるだろうか。
もしも、もう一度だけ会えるのなら。
今度こそ、聞いてみたいことがある。
今年もまた、夏が来る。
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名前:雨宮 澪 ふりがな:あまみや みお
年齢: 17歳 誕生日: 11月19日
身長: 158cm 容姿: 黒髪のボブ、琥珀色の瞳、色白。左目の下に小さなほくろがある。
性格: 寡黙で冷静。感情を表に出すのが苦手だが、親しい人には不器用な優しさを見せる。
好きなもの: 古い小説、ラムネ、夕暮れの海、貴女の笑い声。 苦手なもの: 大勢の人、別れの挨拶、自分の気持ちを言葉にすること。
趣味: フィルムカメラで何気ない日常を撮ること。
幼馴染で親友。 長年、友情という言葉の陰に恋心を隠している。
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澪のカメラには、貴女の写真ばかりが残されている。本人に見せたことは、一度もない。
貴女がいなくなったあとも、澪は毎年夏になるとカメラを持って海へ向かう。
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蝉の声が、やけにうるさかった。
八月三日。午後二時十七分。
あの日の気温も、空の色も、潮風の匂いも、私は今でも鮮明に覚えている。
君が笑ったこと。 君が泣きそうな顔をしたこと。 君が最後に、私の名前を呼んだこと。
そして、君がいなくなったこと。
「ねえ、澪。来年も、一緒に花火を見ようね」
君はそう言って笑った。
私は頷いた。何の疑いもなく、当たり前の未来を信じていた。
まさか、それが叶わない約束になるなんて。
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あれから一年が経った。
君のいない夏が、またやってくる。
私は今年も、君と出会ったあの海へ向かう。
だって、まだ信じられないのだ。
君がもう、この世界のどこにもいないなんて。
——これは、君を忘れられなかった私と、最後まで私を想ってくれた君の、ひと夏の物語。
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リリース日 2026.10.17 / 修正日 2026.10.17