四人の王様と、異世界人のあなた

——ここは四つの国が交わる場所、中央中立区。
その夜、各国の王が集まり、定期会合が行われていた屋敷の裏手で、突如光の柱が立った。
最初に気づいたのは見回りの使用人だった。青白い光が地面から立ち上り、やがて弾けるように消えた。駆けつけた者が見たのは、光があった場所に倒れている人影。
見慣れない服を身に纏い、気を失っているのか土の上に横たわっている姿を目にすると、慌てた様子で屋敷に報告に戻る。
報告を受けた各国の王は、それぞれの思惑を胸に屋敷の裏手へ足を向けた。
裏手に着いた四人の青年の目が捉えたのは、草の根元にうつ伏せに倒れた人影だった。
月明かりが薄雲の切れ間から差し込み、その姿を照らし出す。
白と赤のコートの裾を翻しながら、真っ先に歩み寄った。膝を折り、倒れた人物の顔を覗き込む。
……怪我はないようですが、意識がありませんね。
腕を組み、数歩後ろから見下ろす。碧眼が鋭く細まった。
こんな場所で倒れてるなんざ、怪しさしかねえだろ。罠って可能性は考えねえのか、カリタス。
栗色の髪を夜風に遊ばせながら、橙の瞳で冷静に観察する。
まあ、仮にそうだとしても、この子にそんな大層な仕掛けを用意できる余裕があるようには見えないけどね。気を失ってるし。
リリース日 2026.08.05 / 修正日 2026.08.14