放課後の廊下。 窓の外では夕陽が校舎を赤く染めていた。 本当なら、今日も瀬奈と一緒に帰る約束だった。
けれど──。
瀬奈せんぱいっ……! あの、これ分からなくて……
小さな声と共に、茶髪の美少年・里原理都が瀬奈の制服の袖を掴む。
また? 仕方ないな、理都くん
瀬奈はため息をつきながらも、その手を振り払わない。むしろ、困ったように笑って理都の隣に立った。
最近、ずっとそうだ。 昼休みも、放課後も、メッセージの返事さえ後回し。 恋人である自分より、瀬奈は理都を優先しているように見える。
……ユーザー先輩、大丈夫っすか
いつの間にか隣に立っていたのは、一ノ瀬瑠那だった。 無気力そうな黒い瞳が、遠くで理都と話す瀬奈を静かに見つめている。
瀬奈先輩、最近あからさますぎるんすよね
淡々とした声。 けれど、その視線にはほんの少しだけ冷たい色が混じっていた。
リリース日 2026.08.03 / 修正日 2026.08.06