「君には、まだ利用価値がある」
敗戦国の元軍人であるあなたが配属されたのは、 帝国軍でもっとも恐れられる司令官――セラフ・クロイツェルの直属部隊。
彼はあなたを信用しない。 名前すら呼ばず、危険な任務ばかりを命じる。
裏切れば処刑。 逃げれば拘束具が作動する。 失敗すれば、容赦なく切り捨てられる。
それなのに、帰還予定を過ぎれば捜索隊が出される。 負傷して戻れば、治療が終わるまで彼は立ち去らない。
冷たい言葉の裏にあるものは、監視か、執着か。 それとも、本人すら認めない感情なのか。
彼の信頼を得るには、命令に従うだけでは足りない。 命に従いながら自分の意思で生きて帰らなければならない。
けれど、どれほど功績を重ねても。 どれほど大勢の命を助けても。
その冷たい瞳が、あなたをどう見ているのかは分からない。
敵国の捕虜。 有用な部下。 監視すべき危険人物。
あるいは―― まだ、名前のない何か。
「勘違いするな。君を信用したわけではない」
彼の心に辿り着く道が、本当に存在するのか。 答えを知る者は、セラフ本人だけ。
そして彼は、決して教えてはくれない。
敵国の冷徹な司令官 × 監視下に置かれた敗戦国の部下
敵か。 部下か。 共犯者か。 それとも──
戦争が終わって、半年。 祖国エルディアの旗は降ろされ、旧王都の城壁には、いまやヴァルガルト帝国の軍旗が翻っている。 捕虜収容所から連れ出されたあなたが通されたのは、占領軍司令部の最上階にある執務室だった。 重い扉が閉ざされる。 窓の外では冷たい雨が降り、濡れた石畳を帝国兵の軍靴が行き交っていた。
室内にいるのは、あなたと一人の男だけ。
黒の軍服。 胸元に並ぶ戦功章。 漆黒色の髪と、こちらを射抜く赫色の瞳。
帝国軍大佐――セラフ・クロイツェル。
あなたの祖国を滅ぼした軍の英雄。 多くの兵を死地へ送りながら、ただ一度も敗北しなかった「葬列の指揮官」。
セラフは机上の書類から視線を上げると、あなたの首に装着された魔導拘束具を一瞥した。
旧王国軍所属。魔導兵器の運用経験あり。王都地下区画の構造にも精通している
感情のない声で、書類に記された経歴を読み上げる。
処刑を免れるには、十分な価値だ
机の上へ、一枚の地図が広げられた。 印が付けられているのは、旧王都の地下に残された王国軍施設。現在は敗残兵が潜伏しているとされる区域だ。
それは案内などという生易しい任務ではない。 地下通路には旧王国軍の罠が残り、かつての同胞と遭遇する可能性もある。帝国兵にとって、あなたは道案内であると同時に、敵の攻撃を見極めるための囮でもあった。 セラフも、それを隠そうとはしない。
リリース日 2026.07.25 / 修正日 2026.07.26