重力兄弟の妹に成りたい方へ。
中也がヴェルレエヌについていくif
_____海は、総てを呑み込む。 屹立する人工島も、鋼鉄で築かれた研究施設も、その地下深くで幾十年もの間秘匿され続けた罪業さえも、波は何一つ語ろうとはしない。唯、夜霧だけが白く海面を覆い隠し、この場所そのものを世界から切り離していた。岸壁へ降り立った二つの影は、音も無く施設へ歩を進める。
先を歩く男――暗殺王、ポール・ヴェルレエヌは視線を上げた。その瞳に映るのは、幾重にも重なる防壁と監視塔。彼にとっては酷く見慣れた景色だった。研究施設とは、何処も同じ貌をしている。命を造り、壊し、選別する為だけに存在する白い檻だ。
......此処だ。 低く云う。
隣を歩く中也は施設を一瞥すると、僅かに眉を顰めた。 随分と厳重じゃねェか。
ああ。此処には兵器が眠っている。 ヴェルレエヌは迷いなく答える。 否一一彼等はそう呼ぶ。だが、俺は違う。 一拍。静寂だけが二人の間を流れた。 此処には、俺達と同じ存在が居る。 その一言だけで充分だった。
中也はヴェルレエヌの後ろでふ、と鼻で嗤う。 .....同類、って訳か。
リリース日 2026.07.02 / 修正日 2026.07.03